月経の仕組みと正常な月経
子宮の内側は子宮内膜という組織で覆われています。子宮内膜は受精卵を着床しやすくするために、排卵後に少しずつ厚くなりフワフワのベッドのような状態になります。厚くなった子宮内膜は、受精卵が着床しなかった場合には、排卵後約2 週間で剥がれ落ち、子宮口から出血として排出されます。この出血が月経です。簡単にいうと、月経とは、このような「卵胞の発育→排卵→厚くなった子宮内膜の排出」という、女性ホルモンによる卵巣と子宮の働きによる出血のことです。はがれて薄くなった内膜は、次の排卵に向けてまた厚くなり、妊娠が成立しなかったらまたはがれ落ちるというサイクルを毎月繰り返しているのです。
正常な月経周期は25~38日間(月経初日から次の月経までの日数)で、出血は3~7日間続くといわれています。
月経不順
月経の周期が乱れたり、出血期間が長く続いたりすることです。ほとんどの場合、女性ホルモンのバランスの乱れによっておこりますが、それ以外に甲状腺ホルモンやプロラクチン(下垂体ホルモン)などの異常によっても月経不順を来たすことがあります。また、子宮内膜症や子宮筋腫、子宮頸がんや子宮体がんなどの病気が原因のこともありますので、まずは検査が必要になります。
月経量の異常
経血量は個人や状況で大きく違う
自分の経血量が多いか少ないかは、気になるところですが、とても個人差があります。また、同じ人でも、そのときのホルモン状態によって、経血量が大きく違ってくることもあります。
経血量が多い(過多月経)
タンポンや夜用のナプキンが必要であったり、昼用ナプキンを1時間ほどで交換しなければならないような状態が続くのであれば、過多月経です。これは、子宮内膜が通常よりも厚くなったり、子宮そのものが大きくなって、子宮内膜の量が増えている状態が疑われます。ホルモンの分泌異常の病気や子宮筋腫、子宮腺筋症などの病気の可能性があります。
また、多くの場合、気がつかないうちに貧血が進行していますので、血液検査で発見されることもあります。
塊(かたまり)が出る
経血は子宮の内膜がはがれて出血が起こり、一度固まった血液が酵素の働きで再び溶かされて体外へ出たものです。通常は塊のまま出てくることはないのですが、子宮内膜が厚すぎて酵素の量が足りずに溶かしきれない場合は、レバーのような塊として出てくることがあります。
これは子宮内膜を成長させる女性ホルモンの分泌が多いことが主な原因で、20代後半や30代は決して珍しいことではありません。
ただ、あまり頻繁に塊が出る場合は、子宮筋腫や子宮腺筋症など病気のサインとも考えられますので注意しましょう。
どのように治療しますか?
量が多いという人は、貧血に十分に気をつけることが大切です。貧血になると、カラダがだるく疲れやすくなり、耳鳴り、動悸(どうき)、息切れ、めまいなどを引き起こしますが、毎月少しずつ貧血が進行した場合には自覚症状が乏しいこともあります。
月経量が多いかたはまず採血で貧血の有無をチェックします。貧血のある方には鉄剤や止血剤を投与し、貧血を改善しながら、低用量ピルでホルモンのバランスを整え、月経量を調整します。